相談・サポート

北海道ワイン株式会社

企業データ

企業名 北海道ワイン株式会社
所在地 小樽市朝里川温泉1丁目130番地
資本金 4億4,689万円(2020年11月30日現在)
設立 1974年1月
代表者 代表取締役 嶌村 公宏
事業内容 酒類製造業(北海道産および日本産原料ぶどう100%使用の非加熱生ワインの醸造、ビール製造 )と販売、原料ぶどうに係わる営農指導・管理・調達、ぶどう圧搾残渣に係わる新規事業

めざすはワインランド北海道。
北海道の風土にあった高度な醸造技術で、
ワイン産業の活性化を図る。

話し手北海道ワイン株式会社 経営企画室次長 田島大敬

聞き手ノーステック財団 研究開発支援部長 伊藤征也

伊藤

御社の業務内容をご紹介ください。

田島

創業は1974年。日本でぶどうを収穫し、醸造・瓶詰したワインを日本ワインと呼びますが、弊社はこの日本ワインのカテゴリでは、国内最大のワイン製造量を誇っております。ぶどう栽培については、北海道の浦臼町鶴沼にある鶴沼ワイナリーで自社栽培しており、これは日本最大面積のぶどう農場です。

伊藤

ノーステック財団の支援メニューをご利用いただいたきっかけは?

田島

ワイン製造の過程で発生するオリを、残渣ではなく新しい資源として活用できないかと考えていたとき、ノーステック財団の支援メニューを利用し、ワインビネガーや乳酸飲料、お菓子の試作品をつくったことがいちばん最初のきっかけでした(2008年)。

伊藤

それらは今、ワインビネガーとして売れていると聞いています。

田島

そうですね。試作品づくりの後さらに、自社でつくったワインビネガーと、自社で搾汁した生のナイヤガラ果汁を配合したビネガードリンク「ナイ酢」という商品の開発でも新たにご支援いただき、これはここの醸造所だけで年間6万本程度販売する主力商品になっています。ノーステック財団の支援によって、ワイン以外の商品として大きな売上の柱をつくることができたと思っています。また財団主催の「リ・ブランディングセミナー」を受講し、ナイヤガラとは違う種であるキャンベル種のワインからつくったビネガーから「キャン酢」という新しいブランドも開発することもできました。

伊藤

研究開発では、ワイン残渣の乾燥・粉末化という大きな事業(サポイン事業)でもご一緒しました。そちらの方がどうですか、順調ですか?

田島

支援いただいたサポインは、さまざまな機関が入って研究開発するプロジェクトです。すぐに事業化を求められる高度な事業ですが、「事業管理機関」としてノーステック財団に、われわれ民間企業と大学機関等とのあいだをうまく取りまとめてもらったおかげで、さまざまな知見を得ることができました。また、ワイン製造残渣を皮と種に分別できる工程を開発できたことは非常に大きな事業成果となりました。この技術はただいま特許申請中です。分別したぶどう果皮と種子の乾燥粉末は、他企業との共同で新たな商品の開発を行っている最中です。

伊藤

今後の展開が楽しみですね。最近だと、ワインの研究開発だけではなく、DX化の支援事業もご利用いただいておりますが、そちらの方はどうでしたか?

田島

この支援事業「デジタル化の実証実験」は、社内のDX化へのステップとしては非常に有効でした。DX推進にあたっては、たとえ革新的なシステムを導入したとしても、実際に使用する現場にとって使い勝手が悪かったりすると、会社に浸透せず、結局はシステムがダメになってしまうという例が散見されます。製造現場の特徴として、現場スタッフは作業の変化を嫌う傾向があるのです。それが、実証実験から始めたおかげで、現場が本当に求めているシステムを開発できました。ヒューマンエラーを失くして効率アップできるという実感がわき、会社全体でDXに向けて推進するぞという空気が醸成されました。

伊藤

ノーステック財団としても研究開発だけではなく、こういったキッカケづくりに貢献できて、大変うれしく思います。そのほか「商品の高品質化」でも当財団の支援メニューをご利用いただきました。話しに聞くところによると、こちらのスパークリングワインにその成果が入っているとか。

田島

こちらが、ベースワインの酒質を高品質化させてつくった商品です。このスパークリングワインは瓶の中で再度酵母による発酵をさせて製造するワインで、そのベースとなるワインに「マロラクティック発酵(MLF)」による酸度制御を行うことで品質の向上が見込まれます。しかしながら北海度は気温が低くぶどうのPHが低いためMLFがうまくいかない年があり、商品化には非常に苦労していました。そこでノーステック財団の支援メニューを利用することで、このMLFを完全にコントロールすることができるようになりました。開発から製品化まで時間がかかる商品でしたが、2023年3月に発売にこぎつけ、今では非常に好評を得ています。

伊藤

ぜひ、帰りに買って帰りたいと思います。

田島

ありがとうございます。両手にあまるぐらいに買っていただければ(笑)。

伊藤

御社には、ノーステック財団の支援メニューを幅広くご利用いただいています。当財団の存在について、どのように思われているでしょうか?

田島

われわれのような中小企業では、事業をすすめるにあたりいろいろな課題がでてきますが、自社だけですべて解決しようとするとかならず壁にぶち当たります。たとえばワイン残渣を活用した新規事業の開発時など、ワイン市場しか知らないわれわれにとって、財団の支援メニューを活用した製造残渣の活用事例調査や機能性素材市場の調査で事業化の方向性が明確になり、非常に助かりました。また対面だけでなくインターネットを使ったWEBマーケティンが重要視されていますが、それらにも対応できる支援メニューがあったおかげで課題に真剣に向き合うことができ、新たな経営のステップに踏みだせたと思っています。

編集後記
伊藤征也

北海道ワインさんは、日本ワイン生産量No.1のワイナリーでありながらもワインの製造販売にとどまらず、基幹の発酵技術や知見を生かした多彩な事業を展開されている非常にチャレンジングな会社です。ノーステック財団では、研究開発のサポートから事業化を見すえたさまざまな支援メニューをラインナップしていますが、他の企業さんにも、北海道ワインさんのように当財団の支援メニューを「使いたおして」いただければ、と思っています。

SUPPORT CASE
サポート事例