事業開発支援

昨今の建築物においては、ゼロエネルギーを目指したＺＥＨ、ＺＥＢ等の施設が建設されるようになっており、省エネ性能が著しく高い施設ではあるが、窓枠は熱伝導率の高いアルミ等が主体であり、窓枠に結露が集中し、その部分にカビが発生している現状は変わっていない。一方、ロシアのウクライナ侵攻により、木材の需給構造は大幅に変化し、これまで構造材として一般的であったカラマツ等が市場から姿を消し、木製品製造業では危機的な状況を迎えている。

そこで当社では、全自動の熱交換換気や日射遮蔽ブラインドを有する省エネ性の高い窓システムを、低比重のためパルプでしか利用用途が無かった、道産人工林材であるストローブマツを主体に用い、カーボンニュートラルに大きく貢献出来る製品を開発する。

2021年に開発した手持ち式回転ドリルで使用可能な集塵機能付きハンドコアビット「JIN」のユーザーより、コンクリート以外の穿孔時の粉塵汚染対策製品の開発について要望が寄せられた。

市場調査の結果、現在市場にそのニーズを満たす製品は無く、十分に市場参入の余地はあるとみて開発を決定した。

開発内容は、設備業者・電気工事業者等の施工現場での粉塵汚染対策ができる製品である。これらの施工現場ではコンクリート穿孔だけではなく、金属サイディング・木材・石膏ボード等あらゆる被削材を穿孔する必要がある。それらの被削材の穿孔時に発生する切削粉の対策には、現状では大掛かりな養生しかない。当社で開発を目指すのは、被削材を選ばず穿孔ができるマルチコアビットであり、さらに被削材の穿孔時の切削粉を集塵できるシステムを兼ね添えた国内初の製品である。

令和３年度の同事業により、自社製品であるAIケアプラン・介護記録ソフトCareviewerにIoT機器やウェアラブル端末等、メーカー・機器を問わないデータ連携を可能とするデータ連携機能を開発した。

この開発を踏まえ、障がい福祉サービス事業者においても介護事業者同様のニーズが高まっているため、Careviewerを障がい福祉サービス事業所へ展開するためのソフト開発、ハンズフリーCareViewerの開発を行い、介護・障がい福祉分野全体の課題解決に向けた開発を行う。

介護業界ではリハビリ専門スタッフが不足しており、認知症患者に必要な十分な量・質の認知機能低下防止訓練（個別リハビリ）が提供できていない。

そこで、令和3年度の同事業により、専門スタッフが行ってきた個別リハビリの仕組みをシステム化し、認知機能検査（ＭＭＳＥ及びＦＡＢ)の結果から個人に最適なリハビリを効率よく提供するシステムを開発した。今年度は、利用者の解答状況から次に出題する問題の難易度を調整する仕組み、更に利用者毎に違う周辺症状（徘徊、物盗られ妄想、睡眠障害など）の改善に最適な問題を出題する仕組みを開発し、外部の介護事業者へ提供できるサービスの実現を目指す。

健康福祉・医療（バリアフリー）

札幌市連携市町村では乳牛の飼養頭数が100頭規模の小規模酪農家が多く敷料として麦稈が使われている。そのため、麦稈によるポンプの閉塞問題を引き起こすことから、安定したバイオガスプラントの運転には、麦稈の破砕・裁断装置が必須となる。麦稈を裁断する既存の装置の問題点としては、裁断に要するエネルギー消費量が高いこと及び麦稈の処理技術である。バイオガスプラントで発生させた電気を裁断に利用することから、消費エネルギー量が低く、かつバイオガス発生量を増やせる破砕・裁断装置のニーズは高い。そこで、本研究では少ない消費エネルギーで麦稈を粉砕・破砕し、麦稈をバイオガスの原料へと変換させる装置を開発する。本研究で開発する裁断・破砕機により、札幌市及び連携市町村の138の乳牛飼育経営体へ、強いては道内約５千件の小規模酪農家へのバイオガスプラントの導入の促進へと繋がり、札幌市だけでなく全道への再生可能エネルギー普及が促進される。