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カラマツ材を利用するシロアリ防除用原材料製造システムの開発
| 鈴木 勉[ |
北見工業大学/教授] |
| 土居 修一[ |
秋田県立大学木材高度加工研究所材料特性分野/教授] |
| 佐藤 隆[ |
佐藤林業(株)/取締役社長] |
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背景・目的
カラマツ材利用拡大のためには、ニーズの高い技術開発が急務で、その特徴を生かした需要開拓が要求される。木造住宅の大敵−シロアリ−の被害防止に使用される有機リンなどの薬品による「化学物質過敏症」が問題になっているが、これを解決する手段の一つに薬品使用量を極めて少量にできる効率的なベイトシステムやフィジカルバリアの開発が急務となっている。そこで、カラマツ材に多く含まれるフラボノイドを従来のフィジカルバリアの効果を強化するために利用することを考えた。本研究の目的は、効率的かつ安価にカラマツ廃材(鋸屑)あるいはチップ材からフラボノイド類を抽出する方法を検討し、産業化するために必要な種々のデータを集積することである。
内容・方法
(1)カラマツ材中フラボノイドのシロアリに対する忌避効果の検討
カラマツ材におよそ2%含まれる種々のフラボノイドの化学構造別にシロアリがどの程度忌避されるか実験的に検討し、カラマツ材中のフラボノイドの有用性を確認しているが、この効果が野外設定したフィジカルバリアで同様に示されるかを検討する。
(2) フラボノイドの効率的抽出法の検討
一般的にフェノール性成分の抽出は有機溶媒で行われるが、この方法を製材工場に適用するには、新たに膨大な設備投資が必要で製品コストが非現実的なものになる。そこで、本研究開発ではフラボノイド抽出を水系で行う適切な条件を検討し、工業的・商業的に実現可能な抽出条件を確立する。
(3) アラビノガラクタンのベイトへの利用効果の検討
抽出過程で副生する水溶性の糖、アラビノガラクタンは実験室的にシロアリの摂食行動を刺激することを把握しているので、これをシロアリの摂食を著しく促進する蒸煮カラマツ材に注入し、ベイトシステムへ利用するための抽出法を検討する。
結果・成果
(1)フラボノイドの効率的抽出法の検討
一般的にフェノール性成分の抽出は有機溶媒で行われるが、この方法を製材工場に適用するには、防火設備が完備された膨大な設備投資が必要となり、製品コストが非現実的なものになると予想される。そこで、本研究開発ではフラボノイド抽出を水系で行う適切な条件を検討し、工業的・商業的に実現可能な抽出条件を確立した。その概略は、以下のようである。
まず、適当なメッシュのカラマツ木粉を冷水で攪拌せずに12から24時間程度、5℃ないし室温で抽出する。この時の木粉と水の体積比は、抽出物の回収を考えると少ないほど良いが、作業性を考慮して1:5とした。この段階で、アラビノガラクタンのほとんどが抽出され、フラボノイドの溶出は痕跡程度に抑えられる。続けて熱水抽出を行うが、この条件はフラボノイドの抽出率が高く、分解変質が殆ど生じない70−80℃が良い。この際の抽出も24時間で十分であった。こうして、水系抽出法が確立できた。
(2) シロアリ忌避効果の検討
次にこのフラボノイド類がどの程度シロアリに忌避されるかペーパーディスクで実験的に検討して、忌避効果が十分にあることを確認した。また、これらの化合物をゼオライトに含浸させた時の貫通阻止効果を検討し、1−2%の添加で効果が上がることを確認した。現在は、野外設定したフィジカルバリアで同様に効果が示されるかを検討中である。
(3) アラビノガラクタンのベイトへの利用効果の検討
抽出過程で副生する水溶性糖、アラビノガラクタンのシロアリ摂食行動刺激効果については、実験室的にペーパーディスク法で確認し、続けて、これを蒸煮カラマツ材に注入した時の効果を野外試験によって調べた。この実験では、カビが生えることによって、イエシロアリの摂食活動が促進されなくなることが明らかとなったが、この欠点は、ベイトシステムの形態によって克服できると考えられる。この点は現在検討中である。ヤマトシロアリに対しては、カビが生えても摂食活動が衰えることはないので、問題のないことが明らかとなった。ただし、ベイトとしての総合的効果は、担持する薬品によって異なってくるので、この点については、今後民間の薬品会社等と連携して、実用化のための検討を進める予定である。なお、この際担持する薬品の種類は、昆虫生長調節剤や食毒剤など種々の性質のものがあるので、これらの比較検討をも考慮して試験を進める。
今後の展開
本研究で、カラマツ材からフラボノイド類を効率的に、しかも水系で抽出する方法をほぼ確立できたので、これをゼオライトなどに適切な方法で展着させて、シロアリのフィジカルバリアを構築できる可能性が高くなった。今後は、実際にシロアリ駆除製品を製造している民間会社などと連携して、その効果が確実に上がる方法を確立していく。また、フラボノイド抽出過程で、確実に分画できたアラビノガラクタンを蒸煮処理したカラマツ材に添加して、ベイトシステムに用いる餌としての性能がどの程度向上するか、これについても、実証的検討によって実用化を促進する。
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