寒冷・積雪(北海道)における環境共生型住宅 |
| 尾形 剛(北海道バウビオロギー研究会/事務局) |
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| 北海道の建築は寒冷・積雪との戦いであった。従来の日本の住空間と諸外国の寒冷地住宅の技術も取り入れながら試行錯誤を繰り返してきた。戦後はこのような技術に加えて、生活の便利さと快適さのために大量のエネルギーと大量の資源を消費する技術が出現した時代である。環境を資源とエネルギーで押さえ込んできたことにより、現在では建物の外側の環境に与える影響ばかりか、建物の内側にもダメージを与える大きな問題となっている。また、私たちの「北海道の暮し」そのものの変化にも対応しきれなくなっている。また、省エネルギーのためとして外部との遮断が強まることは、一方で環境への関心を妨げることにもつながる。 | |
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冬期間の暖房システムや断熱材や気密性の向上により、快適な温熱環境を得ることが可能になりつつある。しかし、単に省エネルギー化へ傾向したり、設備システムにのみ依存していたのでは環境との共生が図れるとは言いがたい。冬を中心に考えた住まいは寒さとの戦いの中でシェルター的な要素が大きくなりすぎると開口部が小さくなりがちで、どうしても閉鎖的な住宅になりがちである。閉鎖的な住まいは外部との遮断を強め、環境への関心を妨げることにもつながる。 断熱を高めると省エネルギー効果として有効ではあるが、窓からの日射によるダイレクトゲインが寒冷・積雪地(北海道)においてどのような効果を得ているのかを検証し、各地域の対策案を検討する。 □気候・風土及び住宅形態調査 北海道は4つの気候区に分けられるほどその気候に違いがある。北海道の住宅がその気候・風土の違いにより、どのような住宅形態が成立しているかを調査する。 □シミュレーション検証 気候に特徴ある地域(11地域)の各住宅形態を既存設定として、パッシブソーラー(ダイレクトゲイン)の評価を行い、各地域ごとに対策案を検証する。 |
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寒冷・積雪地(北海道)の住宅形態はほぼ全域にわたり居間中心型の平面形で構成され、積雪量と日射量により屋根形状と基礎高に違いが見受けられた。 形態3Type―11地域のパッシブソーラー・シミュレーションの結果、最もシンプルなダイレクトゲインシステムで蓄熱体(床コンクリートスラブ)を設け、集熱窓(南面窓)を既存設定の開口面積よりも30%増としても年間の暖房量を減らすことが可能であることが分かった。 また、上記の蓄熱・集熱を強化し、対策案のひとつでもある夜間断熱戸(木製雨戸等)を使用して夜間の熱損失を防ぎ断熱性能を高めることで、年間の暖房量を2割以上も削減できる。日射量が少なく、寒さの厳しい冬(12月〜2月)は若干熱損失が大きくなるが、春(3月〜5月)、秋(9月〜11月)の気温が上がり、日射量が増えた時に大きな効果が期待できる。 冬(12月〜2月)の日射量は減少するが、積雪量の多い地域では雪による反射率が高く、積雪量の少ない地域よりも高い日射量を得ることができることが分かった。 断熱を強化する目的でLow-Eガラス(3・12・3)を想定してみたところ、日射透過率が低く通常のペアガラス使用時よりもかえって暖房量が増えてしまう地域がある。窓ガラスの断熱性能も重要であるが、それを上回るほどのソーラーエネルギーの恩恵が受けられることが分かった。 夏(6月〜8月)には集熱量が大きすぎてオーバ―ヒートとなる恐れがあるが、換気回数5回/h以上の調整によってほぼ快適な室温を保てることが分かった。また、庇や南向きの樹木(落葉樹等)等で日射量を調整することも可能である。 積雪地である北海道は長期間にわたって屋外活動が制限されるため、健康障害が発生し易い。また、近年のライフスタイルの変化に伴う居住空間の必要面積も不十分であり、非積雪期の屋外への開放に向かう心理的作用が大きく働くことも考慮すると、冬中心の閉鎖的な住宅を改める必要があると思われる。既に断熱技術の向上により”閉じる”技術は確立されている。また、パッシブソーラーシステムの中で最もシンプルなダイレクトゲイン・システムでも約2割以上の省エネ効果が得られることが今回のシミュレーションで分かった。 |
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パッシブソーラーは環境共生型住宅に必要な「地球環境の保全」・「周辺環境との親和性」・「居住環境の健康・快適」の3つの基本テーマにふさわしいシステムである。設備的な仕掛け等も必要なく、最もシンプルな手法により、ほぼ全道全域で高い効果が得られることが分かった。 今後はより集熱効果の高い開口部(窓)・夜間断熱戸のデザインを検討し、各地域別(11地域)のガイドラインを作成する必要がある。 |
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