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北海道の道路橋は高度経済成長期の1960年代から1970年代に多く建設され、その結果当然2010年から2020年代に竣工後50年を超える橋梁数が急増し、多額の維持管理・更新費用が必要となることが予想される。一方で、20年後には公共投資額が現状の6割まで落ち込むことも既定の事実として受け入れなければならない。そのような背景の下でも、既設橋梁を含む道路ネットワークはその機能を健全に発揮しなければならず、そのためのライフサイクルコストの算定は必須であり、その重要な構成項目であるユーザーコストの具体的な算出を目的とする。
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ユーザーコストには、迂回路交通による走行時間の増加の評価、運輸交通にかかる経済評価、交通事故などの社会的評価等が含まれるが、ここでは最初の迂回路交通による走行時間の増加の評価のみを評価項目として考える。算定の手順は各橋梁毎に以下のようになる。(1)橋梁をピックアップする (2)その橋梁の周辺の迂回路を選択する (3)各路線の交通量を調べ、橋梁がある場合とない場合の通過時間を計算する。 (4)1日に通行するすべての車輛の時間差を加え、それに1800unit/時/台を掛けて迂回路交通による走行時間経費、つまりユーザーコストとする。このユーザーコストは、各橋梁の価値と見ることもでき、また周辺の代替道路ネットワークの充実の程度をあらわす指標とも考えることもできる。橋梁の整備順位を決める場合の重要な指標として位置付けることも可能であり、本研究では、性能設計型の橋梁維持管理体制の提案も行っている。
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LCC(ライフサイクルコスト)の計算におけるユーザーコストの位置付け、社会基盤施設の維持管理業務への国民的合意、そして橋梁の維持管理における資本の投資順位決定などへの貢献を目的として、北海道内の橋梁を対象とし、迂回路交通による時間を計算しコストに換算して示した。地域により差はあるが、少なくないユーザーコストが計算された。現在まで255橋、177グループのユーザーコストを計算し結果を集計した。それらの頻度分布を検討すると、コストが500万unit以上と高額に算出された橋梁数は39橋であった。その原因として、代替道路ネットワークが貧弱(迂回路数が少ない、車線数が少ない、制限速度が遅い等)であるとか、対象路線の交通量が多いとか、本線距離に対して迂回路距離が非常に長い場合に算出される事がわかった。現在の研究段階で1橋梁当たりの平均で1日当たり約50万unitというユーザーコストが算出され、まだ255橋での結果ではあるが、合計で約12000万unitのユーザーコストが算出された。これらの値は当初の予想以上に高い数字が示され、渡辺が耐震上のライフサイクルコストの試算で示しているように、橋梁設計に対する初期投資、及び補強戦略に支配的な項目であることを予想させる。北海道の全ての橋梁は市町村道の橋梁も含めると合計で約2万7千橋ある。今回は任意に対象橋梁の選定を行ったが、単純計算で北海道の橋梁は1日に約140億unitものユーザーコストが算出されることとなる。言い換えれば、北海道の全橋梁で約140億unitという便益を生み出していることになる。
また、橋梁の維持補修の順位付けなどは、基本的にライフサイクルコストの詳細な計算によるべきであるが、本研究のユーザーコストの算定結果を利用することにより、簡易的に維持管理のための戦略例が考えられる。ユーザーコストが高いということは、その橋梁価値も高いということであるが、それは代替道路ネットワークが充実していないとも言える。これにより重要度をランク付けすることで、各部位の劣化の程度に加えて、代替道路ネットワークの程度も考慮に入れた点検・維持補修戦略を立てることが出来る。
さらに、今回計算されたユーザーコストは、別の見方をすると橋梁の価値とも言うことができる。これを国民に示すことができれば、社会基盤施設の維持管理業務に対する国民の合意は得られやすいと思われる。時代的、社会的背景を考えても、本研究の目的を果たすことは非常に重要であると考えられる。将来必ず直面するであろう社会基盤施設の維持管理問題に、本研究が役立てば幸いである。
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本研究において、一つの橋梁のユーザーコスト算定に、少なくない労力と時間を要していることは重要な問題点となる。そこで、交通量、迂回路および本線距離等のUCに影響を及ぼす因子から、ユーザーコストと何らかの相関性が見られる新たな指標を見出し、より簡単にUCを算定する方法を検討していくことが必要である。また、迂回路への交通量分布の際、市町村道には交通量を与えずに時間差を算出しているため、実際のコストよりも低く算定されていることがある。何らかの改良が必要と考える。今後、対象橋梁の数を増やすこと、国道の橋梁も検討対象に含めること、迂回路交通の時間のみでなく、本来ユーザーコストとして考慮すべき経済損失、社会的損失なども検討対象に加えていきたいと考えている。
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