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う蝕の進行などにより、根管経由で細菌感染が起こると歯周組織が破壊され抜歯が必要になる場合がある。そこで、通常では治療が困難な歯に対して歯質接着性の高い高分子材料で感染源の漏洩が起こらないように封鎖し、この高分子材料に生体活性化物質を保持、放出させ、歯周組織再生を促進することができれば保存治療の適応範囲が広がると考えられる。そこで本研究の目的は、接着力が高く生体適合性に優れている4META/MMAレジンに生体活性化物質を保持、放出させるために、他の材料を加えて新たな高分子材料を試作し、生体活性化物質の保持、放出が可能かを検討することである。
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MMA(methylmethacrylate)とDMAA(dimethylacrylamide)をそれぞれ60%、30%および70%、20%とし、3G(Triethylenglycol dimethacrylate)を10%加えた2種類のコモノマーを作製した。さらにMMA100%のモノマーの計3種類を実験に使用した。各モノマーに重合開始剤であるTBB(tributylborane)を混和し、MMAポリマーを加えて試料を作製した。硬化後、ヒト歯根膜細胞を播種し、試料上で1、3、5日間培養し、各試料表面に付着した細胞を計測した。
次に、MMAモノマーにTBBを重合開始剤として滴下してMMAポリマーと混和、その直後に線維性コラーゲンおよびコラーゲンゲルをレジン表面にコーティングして硬化させ、レジンとコラーゲンのハイブリッドを2種類作製した。硬化後、各レジンをrhPDGF-BB(recombinant human Platelet-derived Growth Factor)に浸漬、5分後に洗浄してヒト歯根膜細胞を播種、1,3,5日後に、レジン表面に付着増殖した細胞数を計測した。
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MMAとDMAAの比率を変えて作製したレジンの細胞付着増殖への影響を比較した結果、100%MMAモノマーを使用したレジンが最も付着細胞数が多く、経時的に細胞の増殖が認められたのに対し、DMAAを加えたはレジンは細胞の付着増殖は見られたものの、いずれも100%MMAモノマーのレジンに比較して少なく、30%DMAAを加えたレジンは1日後がMMAの0.22倍、5日後が0.33倍であり、20%DMAAを加えたレジンは1日後がMMAの0.81倍、5日後が0.51倍であった。
DMAAの添加比率を高くすると付着細胞数が低下した原因は、レジンの重合率の低下やDMAAの細胞毒性がMMAより高いことなどが考えられるが、いずれにしても生体活性化高分子材料は生体組織に直接接触するものであり、材料周囲の細胞に対して増殖や分化を促進するため、材料自体の生体親和性が低いと周囲組織に炎症が起こり、目的とする細胞の増殖や分化を阻害すると考えられる。したがって、DMAAを添加することにより生体活性化物質を保持、放出可能な材料を作製しても、生体内では生体活性化物質の作用効率が低下する可能性があると思われた。
そこで、MMAレジンの表面に線維性コラーゲンおよびコラーゲンゲルをハイブリッドさせたMMA/fibrous collagen複合体, MMA/collagen gel複合体を作製した。2種類のMMA/collagen複合体およびMMAレジンを細胞増殖作用の強い rhPDGF-BBに浸漬し、5分後に洗浄して歯根膜細胞を播種した。培養はMEMに0.1% FBSを加え、1,3,5日間行い、レジン表面に付着増殖した細胞数を計測した。
その結果、rhPDGF-BBに浸漬しない場合、MMAレジン表面ではほとんど細胞が増殖しなかったのに対し、MMA/fibrous collagen、MMA/collagen gel上では細胞の増殖が見られ、とくにMMA/collagen gelは細胞増殖が多く、5日後には約1.5倍になった。rhPDGF-BBに浸漬した場合、MMAレジン表面上では細胞の増殖がみられず、MMA/fibrous collagen は細胞の増殖が見られたもののrhPDGF-BBに浸漬しない場合と同程度の増殖であったことから、いずれもrhPDGF-BBが保持されていないと考えられた。しかし、MMA/collagen gel上に付着増殖した細胞数は5日後には約2.3倍になり、rhPDGF-BBが保持され細胞の増殖作用が働いたと考えられた。
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今後、生体活性化物質の保持、放出に効率的なコラーゲン濃度を調べるとともに、他の生体活性化物質についても検討を行い、動物実験を行って組織再生への有効性を評価する予定である。また、本研究成果により歯周組織再生の促進が可能になれば、歯周病の治療にも応用可能と考えられる。さらに、目的に応じて様々な生体活性化物質を保持させることが可能であれば、本高分子材料は成形が容易で金属にも接着することなどから、人工材料と生体組織をハイブリッドさせた人工臓器の開発や組織工学の発展に貢献する可能性があると思われる。
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