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北海道経済の活性化を図る重要な政策課題として、道内企業と海外市場との緊密な関係を構築する必要が指摘され、また北海道経済の国際化を要望する意見も強い。しかし、具体的な方策となると、他の府県に比しきわめて遅れているというのが現状である。本研究は、その具体的方策を海外市場開発との関係において明らかにしようとするものである。具体的には、中国市場を対象として、北海道経済にとっての海外市場の意義を明らかにし、北海道経済の活性化に関する戦略的方途を提起するものである。
生産ネットワークとして世界市場と連結し、ますますグローバル化しているアジアの地域的な生産ネットワークの外側で「北海道の自律」のみを強調するのであれば、それは往々にして北海道経済の自立化を孤立化へと収斂させる陥穽にはまるであろう。北海道経済をこのようなアジア市場、とりわけ東アジアに形成される生産ネットワークの分業関係のうちにいかに組み込むかという方策が考察されなければならない。中国を対象にこれを考察しようとするのが本研究の背景であり、また本報告書の内容・方法をなしている。具体的な方法としては、中国および国内における現地調査、道内の市町村、商工会議所、一部企業に対するアンケート調査、北海道と中国との経済交流をテーマとしたシンポジウムや国際会議などを通じて、実際的なデータ・情報を幅広く収集することに努めた。
北海道に独自の技術的優越性を有利な競争条件とし、また北海道経済の弱点をカバーしつつ、気候的に同じような環境にある中国市場をターゲットにした市場開発の具体的な方策を考え、進出に必要な施策の提言を試みた。具体的には、ホクサイテックに提出した「北海道経済活性化のための海外市場開発に関する報告書」を参照していただきたい。
この報告書の構成は次のようである。本研究の意義と目的を明らかにした序章を受けて、第1章では、北海道経済が中国市場と関係する場合、どのような産業、いかなる企業にとって、戦略的可能性があるかという視点から、これを中国市場の特徴と北海道企業の特性を担う中小企業に焦点を当てて分析・検討し、中小企業の海外進出にともなって生じるであろう課題についても指摘した。第2章では、北海道と中国との経済交流の現状を統計資料やアンケート調査の結果から分析するとともに、寒冷地の住宅関連産業や食品加工産業を中心に、中国市場に対する現地調査に基づく事例研究を試み、克服すべきさまざまな問題を指摘した。第3章において、北海道が考慮しなければならない重要な施策の一つとして研修制度を取り上げ、研修生の受け入れに積極的な甲府市の例を参考にしつつ、研修生制度の役割とその必要性について検討した。これらの問題提起を総括して、終章においては、本研究事業の成果を踏まえて、経済情報の収集機関の設置、道内企業の海外進出を支援する協力体制の構築、人材養成の必要性など、北海道の企業が中国進出に必要な施策を提言としてまとめ、それを今後の展開への一里塚とした。
施策提言を実際に実行していくための体制構築に向け、産学官からなる調査研究チームを作り、具体的な可能性と課題を早急に検討すべきと考えている。例えば、寒冷地技術など北海道が有する先進技術の海外移転の可能性と課題、海外経済事務所や情報センターの設置を含む経済情報の収集、整理・分析、発信のためのシステムの構築、研修制度を含む有効な人材育成プログラムの作成など、具体的なテーマにつき研究していきたい。
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