産学連携実施に係る技術シーズ・ニーズ調査

吉田文和(北海道大学経済学部経営学科/教授)
濱田康行(北海道大学経済学部経済学科/教授)
嘉数侑昇(北海道大学先端科学技術共同研究センター/センター長)
田村修二(北海道大学先端科学技術共同研究センター/客員教授)
山岡勝(北海道大学先端科学技術共同研究センター/客員教授)
竹下明文(北海道ジャフコ(株)営業部/課長)
鈴木貴博(北海道東北開発公庫/産業支援担当参事役)
冨田英禎(北海道東北開発公庫/産業支援担当副調査役)


背景・目的

 北海道内における新産業の創出・育成を図るために、北海道内の産業界が必要としている技術・情報等のニーズ調査を行い、北海道の大学等が提供する技術シーズを活用しての事業化への課題を明らかにするため、本調査を行ったものである。

内容・方法

 北海道の企業における研究開発等において、自社のみで問題を解決しようとすることは、コストの面からも、時間の面からも、また成果の面からも非常に効率の悪いものとならざるを得ない状況がある。企業の技術ニーズの解決の方法として、大学・高専や、公設試験研究機関を活用することにより、より効率的な問題解決に繋がり、高次的な製品開発へと発展し、その成果を元に具体的な事業化へと向かうこととなるのであある。ここでは、アンケート及び企業訪問を行った結果から、企業の技術ニーズに係る課題を検討することとする。
 当該アンケートは、道内の会社において、産学連携による起業化を進める上で、どのようなことが必要とされているのかについての調査を行うため、原則として次の会社288社を対象として、平成11年1月に実施した。対象企業
・札幌及びその近郊都市の製造業・サービス業
・売上が200百万円以上
・経常利益又は申告所得が10百万円以上
・従業員が10名以上
今回のアンケートでは、119社(41.3%)の回答があった。

結果・成果

 今回アンケート調査を行った会社は、研究開発を行ってはいるが、自社のみで解決できない問題が発生した場合、大学・高専や公設試験研究機関を利用して解決を図り、一定の成果が得られた会社が多い。しかしながら、次のような課題も見受けられる。
ア)研究テーマの具体化
 研究者を利用する際に、研究テーマを具体化できなかった会社が見受けられた。自社の課題のどの部分を共同研究のテーマとするか、研究者と相談を行う前に研究内容を分析する必要があるように思われる。
イ)研究者と会社の求める研究スピードの差
 共同研究に取り組んでいる際にも、会社が研究テーマ毎に設定できる期間には限度があり、研究者側にはこれに対する理解と配慮も必要であろう。
ウ)研究機関利用方法の周知
 研究機関を利用する方法がわからないと回答した会社が見受けられた。報道機関等の活用や、説明会の開催等、利用方法の周知が望まれる。

今後の展望

 今回の調査は、産学連携を実施していくうえでの課題を明らかにするために、1.技術ニーズのアンケート調査、2.技術ニーズと産学連携に関する聞き取り調査、3.北大を中心とする特許・技術シーズ調査を行った。今後、これらの調査を生かし、TLO設立などの産学連携の具体的推進に生かしたい。