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生体内に発生する酵素は極めて種類が多いが、その中には、発癌を促進させるものがある。このような酵素を簡便に検出することができれば、癌の予防において画期的な手段となりえる。また、酵素には外部から生体に取り込まれた毒性物質により誘導されることがあり、酵素の検出はこのような毒性物質の存在を知らせることにもなる。本研究は光ファイバセンサを用いて生体内に発生する酵素を検出する技術を開発するものであり、特に今回はさまざまな応用に適用できるような光ファイバセンサ方式生体内酵素センシングシステムとして実用化を進めることが目的である。
本システムの原理は、光ファイバを生体に導入し、特定の酵素に固有の代謝反応により発生する蛍光物質からの蛍光を検出することにより、酵素の存在を検知するものである。この方式によれば、生きている状態での測定が可能となるが、従来は生体の一部を摘出して分析していたことに比較すれば、大きな改善である。本システムでは、2本のプラスチック光ファイバを(光源用と蛍光検出用)を注射針の中に固定してセンサヘッドとし、注射器を利用して酵素反応に必要な試験薬を微量注入しながら測定する。システムは光源部、蛍光検出部により構成されている。任意の波長の光源を得るためには広帯域波長光源とモノクロメーター、および蛍光の波長同定にはスペクトラムアナライザが必要であり、これらを組み込む装置は大掛かりなものとなっていた。しかし、応用の的を絞り、また、ターゲットとする酵素の種類を限定することで、光源を小型のレーザーとし、蛍光の検出には固定波長フィルタを用いることにより、システム全体を小型化することに成功した。試作機を構築し、実際の測定に供して性能評価を行なった。
(1)装置の設計試作
上述原理を達成し、かつ、実用性を考慮した取り扱い容易となるように装置化したシステムの設計を行なった。設計仕様として、実験室において大きな空間を占領せず、可搬であり、また光ファイバに関する専門的知識がなくとも操作できる構造とすることとした。そこで、60b×40b、厚さ1bのアルミ板を用意し、これにレーザーを含む光学系、レーザー電源部、光パワーメーター等も同一の基板上に配置することとした。これ全体をアクリル樹脂のボックスで覆いカバーとした。ボックスの前面には、光源光を取り出すための端子、光軸を調整するためのx−y微調機構を設け、さらに、光検出機ヘッドを固定して、蛍光検出用ファイバをコネクタ治具により取付けられるようにした。光源用、検出用の両光ファイバはいずれも容易に治具に固定でき、治具も容易に端子に取付けられる。また、光軸の調整はあまり厳密さを求めず、光がある程度強く出るような位置であればよしとした。また、データー収集装置を付属させ、測定結果をコンピュータに取り込めるようにした。データーはハードディスクに格納され、必要に応じてフロッピーディスクにて取り出せる。電源は100VACであるが、コンバータを有するバッテリー(12VDC、出力100VAC
30W)を付属させることにより、商用電源のない場所(屋外)でも測定が可能となるようにした。
この設計に基づき、装置を試作した。ボックス部は重量20o程度となり、容易に移動できる。
(2)実験
本装置の動作を実証するため、実験に供したところ、これまでに得られている結果と同様の結果が得られた。さらに、新しく植物における酵素反応の検出を試みた。植物においても動物と同様の酵素が発生することはすでに報告されている。実験では、ユリの球根を用い、酵素の誘導剤として塩化マンガンを用いた。塩化マンガン水溶液により球根を水耕栽培したところ、塩化マンガンを含まない場合に比較して明瞭な差異が示された。これにより植物における酵素反応の検出にも利用できることが実証できた。また、センサを生体内部に挿入したままの状態で連続自動測定も試み、このような計測も可能であることを示した。
本装置は可搬であることから、特に屋外での実験に適用することが期待されている。これは、生体に取り込まれた毒物による酵素の誘導過程を利用し、その毒物(例えばダイオキシン)の環境における汚染状態のモニタに利用しようとするものである。このような応用を目的により小型軽量化を進める。また、さらに自動化することにより実際の医療機関等での要求に耐えられるような実用性の高い仕様での設計を進める。
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