北海道のバイオ産業のネットワーク、道外パートナーズとの連携・販路拡大

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農産物の素材紹介

ブドウ

 ブドウはブドウ科のつる性低木で、人類の歴史とともに歩んできた世界最古の果物として各国に広がり、果物別の生産量では世界一。ブドウの機能性については、早くから注目され、赤ワインは薬用酒として、日本をはじめとする主要国の薬局方に収載されている。1990 年代初めには、"フ レンチ・パラドックス"と呼ばれる疫学的な事象が話題となり、赤ワインの一大ブームを引き起こした。フランスでは、他の欧米諸国と同様に脂肪摂取量が多いにもかかわらず、心臓病による死亡率が低いことが判明。世界一のワイン消費国であることとの関連が注目を集め、ポリフェノールの研 究開発に拍車がかかった。ブドウの種子や果皮由来のポリフェノールの中で注目されるのが、高い抗酸化能をもつレスベラトロールとプロアントシアニジンの2成分だ。
 レスベラトロールは、一酸化窒素産生を促す強力なポリフェノールで、抗がん、抗動脈硬化防止、DNA の保護作用や眼病予防など、さまざまな機能性をもつことが明らかとなっている。またプロアントシアニジンでは、抗腫瘍抑制や血糖値上昇抑制作用などの有効性が報告されている。ブドウ由来の機能性素材を利用した商品では、エイジングケア訴求のサプリメントや化粧品が先行しているが、メタボ対策や認知症対策素材としての注目度も高い。
 ワイン用ブドウ生産量の国内トップは北海道。約4割のシェアをもち、道内各地でヨーロッパ系品種の栽培を行っている。現在、道産ワインの製造過程で生じる果皮や種子などを粉砕・乾燥させた機能性素材が開発され、サプリメントや飲料、保湿・美肌効果や抗炎症作用に着目した化粧品の商品化が進められている。

アロニア

 アロニアは北米原産のバラ科の小果樹で、約200 年前にヨーロッパに移入され、ロシアには約100年前に導入された。日本では1976年、現ロシア農業技術交流事業を通じて種子を導入し、アロニアの実の栽培が始まった。現在、北海道には、ロシアと北欧由来の樹木があり、千歳市、江別市、伊達市(大滝村)などで栽培されている。ロシアでは北海道の街路樹としても馴染みのあるナナカマドに似ていることから、「黒い実のナナカマド」と呼ばれ、古くからジャムやジュース、果実酒として利用している。果実はアントシアニン色素を多く含むため、濃い紫色をしている。アントシアニンはブルーベリーの2倍以上も含まれる。
 北海道立食品加工研究センターなどがアロニアの成分を調べたところ、他の果実類に比べ、食物繊維、β-カロテンを多く含み、β-クリプトキサンチンとポリフェノールの含有量も高いことが分かった。
  機能性素材としては、果実を原料とする濃縮果汁や抽出エキスのほか、圧搾後に残った残渣を有効利用するための研究開発も行われている。濃縮果汁は甘味や酸味が強く、飲料や菓子などの原料に利用されている。また抽出エキスはポリフェノールを豊富に含み、サプリメントの原料として流通する。このほか、アロニアの濃い紫色を生かしたワインやアイスクリーム、ジャムなど、数多くの製品が誕生している。
 現在、アントシアニンのもつ眼精疲労軽減効果に着目したアイケア訴求の商品化が活発だが、産学官連携による機能性研究で、抗肥満作用、血圧降下作用なども解明されており、メタボ対策にも大きな期待が寄せられている。

シーベリー

 シーベリーはタワラグミ科の潅木で、英語名はシーバックソーン、学名はヒッポファエ・ラムノイデス。中国青海省、山西省、四川省、チベット、内モンゴルからシベリア、東欧などに広く自生する。中国ではサジー(沙棘)と呼ばれる。8世紀、中国・唐の時代の薬典『四部医典』には、「潤肺(肺を潤し)、痰(痰を除去し)、止咳(咳を止め)、消五谷(食物を消化させ)、食欲を増し、肝臓病を除去し、老化を防止する」と記載されているなど、古くから食効ある果物として利用されてきた。日本では10数年前に導入されたばかり。
 これまでシーベリーは気候、土壌などの面で日本での栽培は難しいとされていたが、北海道の企業がロシア原産の品種を導入し、無農薬による国内栽培で成功した。ロシア原産の品種は中国原産と比べ、果実が一回り大きく、多くの栄養素を含んでいるのが特徴。ビタミンC、A、Eを豊富に含むほか、18種類のアミノ酸、鉄や亜鉛などのミネラル類、フラボノイドなど200種類以上の成分を含有。高い抗酸化作用による美容・美肌訴求の商品として流通する。また種子に含まれるオイルには、オメガ7系脂肪酸などの不飽和脂肪酸やアミノ酸18種類を含有。フラボノイドやポリフェノール類など抗酸化成分も30種類以上含む。色彩的に黄色の小果実は珍しく、食品の中でも特に菓子業界からのニーズが高まっていることに加え、豊富なビタミン類と同時に脂質を非常に多く含んでいることから、化粧品など幅広い分野への活用も検討されている。

ハスカップ

 ハスカップはアイヌ語で「ハシカプ」に由来する呼び名で、和名を「クロミノウグイスカグラ」という。スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で、サハリンやシベリアなど寒い地域で自生している。道外では高山植物で、標高の高い場所にしか生育しないものの、北海道では苫小牧を中心とする勇払(ゆうふつ)平野には多く自生している。薄く折り重なるような特徴のある樹皮を持ち、初夏には薄黄色の花をつけ、果実は、はじめは黄緑色ですが熟すと青紫色になる。味はブルーベリーに似ており、道内ではジャム、果実酒やお菓子などの加工用として広く栽培されており、品種改良により、甘みを増したものや多く実のなるものも広まっている。
 ハスカップの成分の中で注目されるのは、他の果実類に比べ、有機酸・食物繊維およびミネラル、特に鉄分が多いことである。またビタミンC とα-トコフェロール(ビタミンE 効力)含量も多い。ハスカップは通常冷凍果実として流通しており、この抗酸化成分の含量測定結果からポリフェノール含量はかなり多く、アントシアニン含量はブルーベリーとほぼ同等で、さらに未知のポリフェノールの存在が示唆されている。また1年間冷凍貯蔵してもビタミンC含量にはほとんど差がなく、ハスカップの冷凍貯蔵によるビタミンCの安定性が確認されている。
 ハスカップには株(系統)により苦い果実をつけるものがあり、食品として利用する場合には排除されてきた。しかし最近の研究によると、苦味成分のなかに血圧降下の薬理作用のあるイリノイド配糖体である7-ketologanin およびloganin の存在が推定されており、今後の研究の進展が期待されている。ハスカップは古くから「貧血によく効く」とか「不老長寿の果実」と言われてきたことが科学的に明らかにされつつある。

亜麻仁

 亜麻は中央アジア原産のアマ科の一年草で、冷涼な気候である亜寒帯地域の国々で栽培されている。亜麻と人とのかかわりは古く、約1万年前から栽培されていた記録が残っている。古代ギリシャの医学の父・ヒポクラテスは、「亜麻を食べると胃腸の調子が良くなる」として、亜麻栽培を推奨したといわれている。
 亜麻仁の世界生産量は200万t 以上に上り、最大の生産国はカナダ。日本では北海道だけが亜麻栽培の適地とされている。北海道では明治初期に亜麻栽培が始まり、亜麻事業は軍需拡大により繊維用途を中心に活発化。終戦 後、化学繊維が安く製造できるようになり、1970年代を最後に亜麻は姿を消した。その後、40年ぶりに亜麻栽培が復活。現在、サプリメントや化粧品などへの利用が広がっている。
 北海道の亜麻栽培は無農薬で行われる。4月下旬から5 月上旬に種を蒔き、6月下旬から7月上旬に開花。初夏の亜麻畑は薄紫色の花が美しいじゅうたんを作り出す。8月中旬に成熟し、茎が黄色く、種子のさやが茶色になるのを待ち、収穫される。
 亜麻仁は、α - リノレン酸(n-3 系脂肪酸)を豊富に含み、SDGと呼ばれる特有のリグナンや非可溶性および可溶性の繊維も多く含有しているのが大きな特徴。厚生労働省が2005年に発表した「日本人の食事摂取基準」の中で、n-3系脂肪酸の摂取目標を設定したことにより、亜麻仁を利用した商品開発が活発化。SDGは、メタボ対策や更年期対応の成分として注目されている。亜麻仁は抗アレルギーや美肌訴求の素材としての利用価値も高い。

ハマナス

 ハマナス(Rosa rugosa Thunb)はバラ科バラ属の北方系植物で、学名は"皺のある葉を持ったバラ"に由来する。花が美しいことから北海道のシンボルの花に指定されている。北海道から日本海側は山陰地方、太平洋側は房総半島まで自生する。1796 年に日本から初めてヨーロッパに持ち込まれ、北方系のバラの品種改良の遺伝材料になったことでも知られている。北海道では戦前よりバラ精油を採油するために栽培していたが、合成バラ油などが流通して以降、香料用ハマナスは栽培されなくなった。アイヌは昔から熟した果実を割り、種を取って生で食べたり、乾燥したものを保存食として利用。花は水腫病の治療目的として、煎じて服用していた。この記録は秋田県立図書館の蔵書で、医師の岩谷省達氏が蝦夷地に派遣された時に書き残した『胡地養生考、安政4年』にも紹介されている。
 北見工業大学がハマナスの花弁を分析したところ、生花100g中にビタミンCが約80㎎ 含まれ、ハマナスのビタミンCは煮沸しても分解されにくいことを突き止めた。このほか、花弁の有効成分としてポリフェノールと色素を含有する。ポリフェノールは抗酸化活性の強い加水分解型タンニンであることが判明。乾燥花にはポリフェノール約20%を含有する。色素の大部分はアントシアニンの配糖体で、美白効果が期待されている。
 現在、北海道ではハマナス花エキスを配合したサプリメントやお茶、調味料、化粧品などが流通する。機能性研究では、便臭抑制効果、ビフィズス菌に対する増殖効果と整腸効果、消化酵素阻害作用、体臭抑制効果、血中トリグリセライド低下作用などが報告されている。

行者ニンニク

 行者(ギョウジャ)ニンニクはユリ科ネギ属の多年草。和名は山野で修行中の僧(行者)が体力をつけるための栄養源として利用し、その香りがニンニクに近い植物だったことに由来する。アイヌ語ではキトピロ、ヒトピロなどと呼び、ギョウジャニンニクを食べたり、火にくべて強烈な臭いのする煙をおこし、そのにおいを体に浴びたりして、肺炎、風邪、下痢、火傷、打ち身、消毒などの万能薬として使用していたという。ニラと同じように葉と茎を食べる。主な産地は北海道で、4月下旬~6月上旬が旬。北海道でもかつては近隣の山野で手軽に採ることができた が、乱獲や山野の開発が進んだ結果、自生地を見つけることが難しい幻の野草となりつつある。栽培技術は確立されているものの、成長速度が遅く、収穫までに3~5年を要する。
 有効成分では、タマネギやニンニクなどのネギ属と同様に硫黄化合物を多量に含むのが特徴。アリイン、ジアリルジスルフィド、メチルアリルトリスルフィド、ジアリルトリスルフィドなどの硫化アリル群は、ニンニクの約4倍含まれる。
 機能面では、血流改善作用、血小板凝集阻害、血栓溶解作用などをもつ。またアリインは、ビタミンB1と摂取することで、疲労回復効果のあるアリチアミンの生成とともに消臭することが分かっており、抗疲労や男性機能対応素材としても注目されている。
 また機能性素材として流通するギョウジャニンニクは、タマネギと同様に硫化アリルを選択的に増加させる処理を行い、健康維持に役立つ生体調節機能を賦活化させた粉末原料が開発されており、サプリメント用途で供給されている。

ヤーコン

 ヤーコンは南米アンデス地方原産のキク科の多年草。アンデス地方では、インカ帝国の時代から野菜として食しており、世界有数の長寿国・アンデスを支える食材の一つとされている。芋の形はサツマイモに似ているが、デンプン質はほとんど含まれていない。日本には1985年に導入され、1990年にフラクトオリゴ糖を大量に含むことが判明し、健康野菜として注目されるようになった。現在、地域特産品として商品化する動きが高まっている。北海道での植え付け時期は5月頃で、10~11 月の降霜までに収穫する。
 芋と葉・茎の両方を食用として利用でき、芋の部分には、フラクトオリゴ糖、食物繊維、クロロゲン酸やカフェ酸などのポリフェノール類を豊富に含む。特にフラクトオリゴ糖は野菜の中では最も多く、収穫直後のヤーコン芋には7~9%のフラクトオリゴ糖を含む。芋は生食や加熱調理して食べることができ、生はシャキシャキとした食感とほんのりとした甘味をもつのが特徴。サラダとの相性も良い。また芋を乾燥粉末にして、菓子や乳製品などに配合した商品も開発されている。葉部には、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどミネラルが豊富に含まれるほか、フラボノイドやテルペン類も含有。葉部は主に煎じてハーブティーとして利用される。
 機能性については、フラクトオリゴ糖や食物繊維を豊富に含む芋では、整腸作用や骨強化、血糖値上昇抑制作用、免疫力向上、ダイエット効果などが期待されている。フラクトオリゴ糖は、特定保健用食品の関与成分にもなっている。また葉部では、抗酸化作用や血糖値上昇抑制効果が報告されている。

甜菜

 甜菜はアカザ科フダンソウ属の植物で、主に北半球の冷涼な地域で栽培される。別名「砂糖大根、ビート」とも呼ばれる。見た目は大根やカブに 似ているが、分類上はほうれん草と同じアカザ科に属している。ヨーロッパにおいて、砂糖は甜菜糖のことを指し、世界の砂糖消費量の約3割は甜菜糖で占める。
 甜菜糖が発見されたのは1747年。ドイツの化学者が甜菜の根から砂糖を分離することに成功した。日本における甜菜糖業は1879 年に官営工場が北海道2ヵ所に建設されたことに始まる。現在は日本甜菜製糖に北海道糖業とホクレン農業協同組合を加えた2社1団体が甜菜糖業を展開する。日本で流通する砂糖の4分の1は甜菜糖で占める。
 甜菜由来の機能性素材では、天然オリゴ糖(ラフィノース)、食物繊維、セラミド、ベタインなどが開発されている。
 ラフィノースはトウモロコシやジャガイモなどにも含まれる食経験豊富なオリゴ糖。ショ糖(グルコース+フルクトース)にガラクトースがα結合した三糖類で、吸湿性が非常に低いのが特徴。ビフィズス菌増殖や便通・便性の改善、免疫賦活、抗アレルギー作用などの作用をもつ。食物繊維は水に不溶で、野菜本来の食物繊維の特徴として、ペクチン、ヘミセルロース、セルロース、リグニンをバランスよく含む。セラミドはグルコシルセラミドのほか、リン脂質や植物ステロ―ルなどを含有。新しい美容素材として提案されている。ベタインはアミノ酸系物質で、水産物に多く含まれ、甘味とうま味にかかわる新しい機能性素材として注目を集めている。植物ではストレス耐性に関与するといわれ、アカザ科植物のほか、麦やサツマイモにも多く含まれている。

大豆

 大豆はマメ科の1年草で、約2,000 年前に朝鮮半島を経由し、日本での栽培が始まったとされている。大豆の国内生産量は年間22~26万トンで推移し、北海道の大豆生産量は約6~7万トンで国内トップ。北海道では明治初期から十勝地方を中心に、品質の良い大豆の本格的な栽培が始まった。栄養面では、ミネラルや脂肪を豊富に含むほか、8種類の必須アミノ酸を理想的なバランスで含有。肉に匹敵するタンパク素材であることから、「畑の肉」とも呼ばれ、"ミラクルフード"として近年、世界的に再評価する動きが高まっている。
 機能性成分では、大豆イソフラボン、大豆タンパク、大豆ペプチド、大豆レシチン、ギャバ、トコフェロール、ホスファチジルセリン、大豆サポニンなどが注目され、健康食品として大きな市場を築いてきた。日本では昔から「大豆は体に良い」という伝承的なイメージが浸透していたが、イソフラボンやペプチドなどの機能性成分が見出され、成分ごとに有効性・安全性研究が進んだ。
 米国食品医薬局では、1999年に大豆タンパクを1日25g摂取すると冠動脈心疾患の罹患リスク低減に効果的とする見解を発表。これを受け、大豆関連の健康食品などが一大ブームとなり、その影響は日本市場にも及んだ。
 一方、ここ数年、大豆をまるごと使用した商品開発が活発化する中、道内の民間企業2社が共同で、北海道沿岸に自生する海藻のエキスを配合した専用肥料を使用し、亜鉛を通常の2.5倍含む大豆の栽培法を開発、食品業界から注目を集めている。国が定める食事摂取基準では、亜鉛の1日当たりの推奨量を男性9mg、女性7mgとしているが、国民健康・栄養調査によると20%近くの国民が亜鉛欠乏か亜鉛欠乏予備軍とみられ、今後、亜鉛強化食品への利用が期待されている。

カボチャ

 カボチャには、16世紀にカンボシアから伝わった日本カボチャ、明治期にアメリカから導入された西洋カボチャ、ズッキーニに代表されるペポカボチャなどがある。カボチャの国内生産量は北海道が45%のシェアを占める。栄養成分面では、ビタミンA、B、C、β- カロテンが豊富に含まれているのが特徴。
 健康食品に利用される品種はペポカボチャの種子油。ドイツでは前立腺肥大症や過敏性膀胱炎の治療薬として承認されており、その機能性に注目して道内でも試験栽培が開始された。さらに近年、西洋カボチャの種子油もペポカボチャの成分と類似の成分が含まれていることが判明。排尿阻害抑制など生活習慣病の改善効果に関する研究を進めており、これまで廃棄されていた未利用部位の製品化に取り組んでいる。
 種子油には、リグナン、脂肪酸、トコフェロール類などの成分を含む。健康食品市場では、排尿トラブル素材として流通する商品が多く、中高年男性を主なターゲットに展開する。

アスパラガス

 アスパラガスはユリ科の多年草で、国内では北海道が一大産地。大正時代に北海道の冷害対策として、ホワイトアスパラの育成と缶詰の事業化に成功したのが北海道岩内町。同町には「日本アスパラガス発祥の地」という記念碑が建てられている。アスパラギン酸、グルタチオン、ルチンのほか、ビタミンA、B、C、E、葉酸などのビタミンを豊富に含む。
 近年、健康食品としても流通するようになり、アスパラガスの未利用部分である擬葉を利用した青汁やゼリー商品が発売されている。擬葉を用いた機能性研究では、血中コレステロールや中性脂肪の低下作用が報告されている。
 また北海道のバイオ企業は、アスパラガスを熱水抽出したエキスに抗ストレス作用があることを突き止めた。活性成分として、ヒドロキシメチルフルフラールに関連する新規物質「HSP70 誘導物質」を単離同定することに成功した。

小豆

 小豆の原産地は東アジアで、日本でも縄文史跡から発掘されるなど古くから貴重なタンパク源として利用されていた。日本では北海道が6割以上の生産量を占める。栄養面ではタンパク質、炭水化物、ビタミンA、ビタミンB1、コリン、サポニンなどを含有する。漢方では赤小豆湯として利用されている。
 また近年は、小豆に含まれるカテキングルコシド、カテキン、ルチンなどのポリフェノールに着目した商品化が進んでいる。小豆のポリフェノールは抗酸化作用が強く、さまざまな機能性が研究されている。
 機能性素材では、小豆の煮汁を濃縮し、噴霧乾燥させた粉末原料が流通する。水溶性で安定し、溶解後は沈殿やオリが生じないなどの特徴を持つ。耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐光性に優れており、赤飯をはじめとする加工食品の色付けや、小豆ポリフェノールを利用した健康飲料、健康食品などへの導入が進められている。

クマ笹

 クマ笹は単子葉類ササの一種で、日本に最も広く分布する植物。「本草網目」には漢方生薬として「呼吸器系、咽喉の疾患に効き、腫瘍を消す」と収載されている。クマ笹と日本人の関係は深く、「創傷治療」、「利尿」「吐血」などを目的とした民間薬としての利用のほか、抗菌・殺菌効果があることから、食品の保存にも広く活用されていた。
 クマ笹を用いた健康食品は50 年以上前から上市されており、原材料は北海道産が中心。原料は天然クマイザサ(Sasa senanensis)の葉を原料にした粉末、エキス、エキス末が流通する。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、食物繊維、オリゴ糖など多様な成分を含有し、中でも注目されている有効成分はクマ笹多糖体。多糖体はキノコ類にも多く含まれ、免疫賦活作用のほか、抗菌・消臭効果、抗酸化作用、腸内ビフィズス菌増強作用などの研究成果が数多く報告されている。クマ笹に含まれる有効成分はそのままでは消化吸収が困難とされ、各社とも独自の抽出法、乾燥法、熟成法により差別化を図っている。

チコリー

 チコリーはヨーロッパ原産のキク科ニガナ属の多年草。ヨーロッパでは広く流通しているポピュラーな野菜。葉はサラダとして利用されるほか、根は茹でたり、炒ったりして食べる。根を焙煎してカフェインレスのコーヒーとして飲むことができる。根の主成分は血糖値上昇抑制作用のあるイヌリン。北海道では十勝地方や石狩地方、北見市などで栽培されている。北海道産チコリーの収穫時期は11月。
 栄養成分面では、β- カロテン、ビタミンC、E、K、B群、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などのビタミンのほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル、食物繊維を豊富に含む。若葉はほんのりとした苦味があり、その主要成分が鎮静・鎮痛作用を持つラクチュコピクリン。ワイルドレタスからも同様の成分が発見されている。

ナガイモ

 ナガイモ(長芋)はヤマノイモ科ヤマノイモ属の根菜で、中国が原産とされている。ナガイモは昔から「山薬」(サンヤオ)や「山うなぎ」といわれ、消化吸収に優れ、滋養強壮や夏バテ予防に効果があることが知られている。中国では漢方薬として利用される。北海道では幕別町、帯広市、芽室町が一大産地。ナガイモの国内生産量は北海道産が47%を占める。道内で栽培される主な品種は「十勝系選抜」と「夕張選抜」。3月の圃場の準備を始め、収穫は11月上旬頃。
 ナガイモの主成分はデンプン。食べ物の栄養素を効率よく吸収させる働きを持つジアスターゼやアミラーゼなどの消化酵素も多く含有する。このほか、カリウム、亜鉛、鉄、ビタミンB1、ビタミンC、食物繊維などを含む。特有のぬめりはタンパク質と多糖類の結合体であるムチン。体内の粘膜を保護する成分も兼ね備えるほか、血清中の総コレステロール濃度を低下させる作用も報告されている。またナガイモ中に含まれるタンパク質に、抗ウイルス活性機能があることも明らかとなっている。

ゆりね

 ゆりねはユリ科ユリ属の隣茎(球根)で、北海道では大正時代に和田伊三郎氏が本州に自生する小鬼ユリから選抜して増殖栽培に取り組んだのが始まりとされる。主産地の真狩村では、1961年に「斎藤ゆり」で有名な斎藤行雄氏が自家用栽培していた在来種の増殖を試みたのが始まり。1966年には真狩村ゆりね生産組合が設立され、本格的な栽培を開始した。食用では現在、苦みの少ない小鬼ユリを交配親とする品種「白銀」を栽培している。ゆりねの生産は北海道が全国の98%を占め、そのうち真狩町が道内の約4割を生産する。京懐石料理にも用いられ、京都の丹波地方でも栽培されている。ゆりねの栽培は畑に植え付けするまでに3年、畑に植え付けてからさらに3年の月日を必要とする。
 中国では、古くから滋養強壮、利尿、咳止め、鎮静作用などの薬用植物として用いられていた。栄養成分面では炭水化物のほか、カリウム、鉄、銅などのミネラル、ビタミンB1、B2、ナイアシン、葉酸、食物繊維を豊富に含む。カリウムの含有量は野菜の中でもトップクラス。

シソ

 シソはシソ科シソ属の一年草で、日本では奈良時代に薬用目的の栽培が始まり、食用になったのは室町時代以降とされている。シソは古くから漢方薬や民間薬として用いられ、またシソの種子にはn-3系脂肪酸のα-リノレン酸のほか、ステアリン酸、パルミチン酸などが含まれ、咳や喘息の症状を緩和する作用が知られている。
 青シソの葉には、β-カロテンとカルシウムのほか、ビタミンB群、ビタミンK、カリウム、カルシウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分など豊富な栄養素を含む。また、抗アレルギー作用のあるカフェ-タンニン系のロスマリン酸、ルテオリン、アピゲニンなどのフラボノイド配糖体などの有効成分も多く含む。機能性研究では、TNF- α産生抑制作用、IgE 抗体産生抑制作用、かゆみの抑制作用、花粉症、アトピー性皮膚炎などに対する改善効果が多数確認されている。シソ独特の香り成分であるペリルアルデヒド類を除去した原料が流通しており、味覚や臭いに違和感がなく、汎用性も高いため、健康食品、飲料、菓子、化粧品、医薬品などさまざまな分野で利用されている。

ハッカ

 ハッカはシソ科の植物で、全世界で栽培される多品種のハーブ。3,500年前に古代ギリシャで生薬として利用されており、北海道では明治時代に栽培されるようになった。
 シソ科特有の正方形の茎形と、葉をもむだけで感じられるスーッとする独特な清涼感は、ハッカ草に含有する「ハッカ油」という精油によって出されるもの。ハッカ油の含有量は一番多い「和種ハッカ」でも、1~2%ほどしか含まれていない。ハッカ油には、「L(‐) メントール」や「L-カルボン」という主成分と、その他100種類以上の成分が含まれ、これらが品種の違いによる 「香りや風味」の差異を醸し出している。ハッカ油は、水蒸気蒸留によって抽出され、さらにこれを冷却して再結晶させハッカ脳と呼ばれる複合結晶(主成分はl-メントール)を得る原料に用いられる。これらは食品用、生活用品、タバコなどの香料、医薬品用としても利用されている。食品分野では、昔ながらの菓子、飴などの香料としての用途が代表的。漢方薬(生薬名:薄荷葉(はっかよう))としても清涼、解熱、発汗、健胃などの目的で用いられる。