北海道のバイオ産業のネットワーク、道外パートナーズとの連携・販路拡大

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水産物の素材紹介

イカ

 軟体動物の頭足類に分類されるイカの種類は約450 種といわれ、このうち日本近海で140 種が確認されている。北海道沿岸ではスルメイカ(マイカ)が最も多く漁獲され、ヤリイカやアカイカなども水揚げされる。
 イカは低カロリー、低脂肪、高タンパクの食材で、タウリン、EPA、DHAなどを含む。ナイアシン、ビタミンB群、ビタミンE、パントテン酸のほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、なども含む。またイカ墨にはリゾチームによる防腐作用やメラニンによる抗腫瘍作用などが知られており、さらにムコ多糖の一種であるタンパク質複合体(プロテオグリカン)の抗腫瘍作用などさまざまな機能性研究が進められている。
 イカ由来の機能性素材では、コンドロイチン硫酸が注目されている。コンドロイチン硫酸は、軟骨などに豊富に含まれるムコ多糖類の一種で、関節軟骨に多く存在し、軟骨においてはヒアルロン酸やタンパク質との複合体であるプロテオグリカンを形成。大量の水を組織に保持し、組織に留める保湿機能をはじめ、関節、靭帯などの弾力性、円滑性を維持する役割を担っている。年齢を重ねるにつれコンドロイチン生成能力が低下するため、関節軟骨の機能も低下し、変形性膝関節症につながるとされている。
 コンドロイチン硫酸は、結合している硫酸基の位置によって、A 型、B 型、C 型、D 型、E型の5種類に分けられ、由来原料によってそれぞれ多く含む型が異なる。イカ軟骨由来のコンドロイチン硫酸では、生理活性が高いといわれるE型コンドロイチンが注目されている。

カニ

 キトサンは、カニ・エビやキノコなどに多く含まれるキチンをアルカリ処理して得られる脱アセチル化合物で、グルコサミンがβ -1,4 結合した多糖類。農林水産省が1982 年に10ヵ年計画で実施した「未利用生物資源バイオマス計画」の中でキトサンに関する本格的な研究が始まった。それ以降、血中コレステロールや中性脂肪低減作用、血圧上昇抑制作用、腸内環境作用、体内の不要物質を排出する解毒・排毒作用、免疫増強作用、細胞の活性化、抗菌・抗カビ効果などの有効性が明らかとなり、1990 年代にはダイエットブームで一大市場を築いた。
 キトサンは分子量によって機能性が異なる。高分子キトサンは、ダイエットや便通改善、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール低下などメタボ関連のデータを蓄積しており、特定保健用食品の関与成分にもなっている。低分子キトサンは、水溶性の素材で、免疫増強作用や腸内環境改善などを訴求する。中分子キトサンは、高分子キトサンと低分子キトサンの両方の機能を併せもっている。
 キトサンは生体親和性が高く、鎮痛効果、止血効果、抗菌・抗ウイルス作用もあることから、人工皮膚や止血剤などにも採用されている。
 カニ由来のキトサンでは、北海道産ベニズワイガニから抽出した、pH 安定性が高い天然高分子の素材が開発されている。安全性が高く、ヒアルロン酸と同程度の保湿性、高い皮膜形成能などの機能性を持っているのが特徴で、スキンケア・ヘアケア用途での商品化が進んでいる。

エイ

 北海道の一般家庭の食卓に上る海産魚の中で、ホッケ、サケ、タラ、カレイなどとともに人気の高い魚がガンギエイ(地方名・カスベ)だ。エイ目ガンギエイ科の冷水魚で、北海道の宗谷沖などオホーツク近海で最も多く水揚げされる。通年にわたって漁獲されるが、旬は11~12 月。主にヒレの部分を食用とし、北海道や青森・秋田など東北の一部で長い食経験をもつ。塩焼き、煮付け、煮こごり、ムニエル、唐揚げなどの料理法が一般的。骨の大半が軟骨のため、骨もまるごと食べることができる。この軟骨に着目した研究開発が産学官共同で進められ、コンドロイチン硫酸やコラーゲンなどの機能性素材が開発されている。
 エイ軟骨由来のコンドロイチン硫酸にはⅡ型コラーゲンや、高硫酸化コンドロイチン硫酸であるDユニットとEユニットを豊富に含んでいるのが特徴。
 Ⅱ型コラーゲンは関節軟骨や目の硝子体に多く存在し、軟骨特有のクッションとして機能し、3 本のα1( Ⅱ型)鎖から構成される。Ⅰ型コラーゲンが美容素材として不動の地位を築く一方で、体感性の良さや関節炎の発症抑制を中心とする豊富なバックデータ、コラーゲンとしての認知度の高さなどから、高齢者向けの"ポストグルコサミン"を狙う関節対応素材として需要が急増している。
 機能性研究では、マウス試験で乳腺がんや大腸がんに対する抗腫瘍活性、皮膚の保湿性向上効果、脳神経細胞の伸長促進作用などが確認されている。現在は、関節訴求のサプリメント用途での商品化が中心だ。

ホタテ貝殻

 ホタテガイはウグイスガイ目イタヤガイ科に分類される二枚貝で、北海道沿岸、青森の陸奥湾、岩手・宮城の三陸海岸で国内漁獲量の大半を占める。ホタテガイの食経験は古く、5,000年前の縄文時代の貝塚や出土品からホタテ貝殻が発見されている。ホタテガイの年間漁獲量は50 万t(天然・養殖を含む)を超え、北海道が8割近くのシェアを占める。北海道の海面漁業では生産量、生産額ともにトップ。漁場は地まき放流による底引き網漁と垂下方式による養殖で行われ、北海道のオホーツク沿岸は地まき放流した3~4年物、噴火湾は養殖した2~3年物 が中心。オホーツク沿岸は初夏から秋、噴火湾は冬から春にかけて漁獲される。
 貝柱にはタウリンやグリコーゲンなどが豊富に含まれ、食材としての利用価値も高いが、一方で大量に廃棄されるホタテ貝殻の有効利用を目指し、食品素材や工業素材などの開発と実用化に向けた研究も進められてきた。
 食品素材としては、ホタテ貝殻を焼成し、貝殻表面のタンパク質を除去した後、炭酸ガスと反応させて再合成した高純度の炭酸カルシウムや、未焼成による炭酸カルシウムが開発されている。平均粒度2~3μmという微粒子のため、分散性、食感、吸収性に優れているのが特徴。原料はカルシウム強化食品のほか、加工食品の品質改良や日持ち向上にも利用できるなど、用途拡大が進んでいる。また殺菌・抗菌効果も報告されており、野菜洗浄などでの活用が提案されている。国民健康・栄養調査によると、日本人のカルシウム摂取量は男女とも不足しており、栄養機能食品や特定保健 用食品の関与成分にもなっている。