北海道のバイオ産業のネットワーク、道外パートナーズとの連携・販路拡大

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機能性食品の素材紹介

 キノコは古くから生薬などに利用され、豊富な食経験をもつポピュラーな素材だ。機能性を訴求するキノコ健食市場では、アガリクス、霊芝、カバノアナタケ、ハナビラタケ、菌糸体培養抽出物など数多くのキノコ商材が流通する。キノコ類は、β-グルカンやアミノ酸などを多く含むのが特徴。機能性研究では、免疫関連やメタボリックシンドローム対策に焦点を当てた研究成果が数多く報告されている。2009年度には厚生労働省がん研究助成金による「がんの代替医療の科学的検証に関する研究班」が発足。がんに効くとされる健康食品の有効症例の調査研究をスタートさせた。がん医療現場では、補完代替医療を利用するがん患者は約半数に上り、9割強が健康食品を利用していることが判明。キノコ類の利用率は7割を超える。健食業界では、有効性や安全性に関するバックデータを有していることを前提に、医家向けへの導入を進める企業が増えている。

菌糸体培養抽出物

 キノコは通常、実の部分(子実体)を食べるが、子実体の根元から伸びてくる糸状の菌糸が集まってできたものを菌糸体という。成分面では、菌糸体と子実体に含まれる多糖類の種類に違いがあることが分かっている。菌糸体を用いた機能性素材では、菌糸体を米ぬか由来の培養液で長期間培養し、培養濾液を凍結乾燥させた菌糸体培養抽出物が広く知られている。
 菌糸体培養抽出物には、担子菌が産生する酵素がさまざまな成分と反応することによって得られる特有の成分を含有し、その代表的な成分はアセチル化されたα - グルカン。アセチル化α -グルカンは比較的低分子(分子量約5,000)で、β - グルカンよりも吸収されやすくなっている。
 機能性研究では、免疫賦活作用、化学療法剤の副作用軽減作用、感染性防御作用、自然免疫増強作用などの有効性を示唆する広範囲な研究成果が報告されている。

タモギタケ

 タモギタケは東北以北に分布し、北海道では食経験豊富なキノコとして親しまれている。道内のタモギタケ栽培は昭和40 年代から始まった。道立林産試験場で開発された品種が使用され、年間生産量は500 t近くに上る。
 成分面では、旨味成分である5´グアニル酸の含有量がブナシメジの約2 倍、シイタケの約1.5 倍もあることが判明。β -D- グルカン、食物繊維、アミノ酸も豊富に含む。タモギタケ子実体由来の抽出エキスを用いた試験では、抗腫瘍作用、血糖値上昇作用、血圧上昇抑制作用などがあることが確認された。
 また、タモギタケからグルコシルセラミド(スフィンゴ脂質)を抽出し、米糠やトウモロコシとは異なる構造をもつグルコシルセラミドを高純度で抽出する技術も確立されている。現在、保湿作用や抗アレルギー作用をもつ素材として、サプリメントや化粧品用途での導入が進んでいる。

カバノアナタケ

 カバノアナタケはロシア、中国、北欧、北海道などの寒冷地の山岳地帯に自生するキノコ。白樺や岳樺(ダケカンバ)の樹液を吸いながら、10 年以上かけてゆっくり成長する。菌糸が養分を蓄えて、菌核と呼ばれるこぶ状の塊となる。外側は石炭のように黒く、内側は明るい茶色をしている。白樺1~ 2 万本に1 本しか見つけることができない貴重なキノコだ。ロシアでは1980 年代に医薬品として認可され、がんや胃潰瘍の治療として利用している。日本では北海道の先住民が民間薬として、カバノアナタケを摂取していた。
 主な有効成分は、多糖類のβ -D- グルカン、水溶性食物繊維、フラボノイド、ミネラル、イノシトールなど。現在、リグニン、エルゴステロール、ベツリン酸、トリテルペン、ラノステロールなどの成分に着目した研究開発も行われている。
 機能性研究では、抗酸化作用、免疫異常の正常化作用などが確認されているほか、糖尿病、高脂血症、肥満、高尿酸血症などに対する改善・予防に向けた解明や、抗ウイルス、抗アレルギー、血管新生阻害作用、アポトーシス誘導作用、抗細菌活性などに関する検討も進められている。

霊芝

 中国では数年の歴史をもつ霊芝。和名を万年茸(マンネンタケ)といい、サルノコシカケ科に属する担子菌の一種。傘・柄を含めた子実体は、乾燥させるとそのままの形で保存できることから、万年茸という名前がついたとされている。現存する中国最古の医学書で、漢方薬のバイブル書『神農本草経』では、霊芝を最高ランクの「上品」として位置づけている。主な有効成分は、β -D-グルカンなどの多糖類やトリテルペン- ガノデリン酸類、ミネラルなど。
 日本で霊芝の人工栽培が本格化したのは1980年代以降だ。現在、北海道でも道産の原木などを用いた人工栽培により、高品質な霊芝が生産されている。
 機能性研究では、抗腫瘍、免疫活性、鎮痛・鎮静、血圧降下作用、利尿作用、肝炎改善、コレステロール低下、血液浄化作用、抗酸化作用、自律神経作用、抗アレルギー、抗ストレスなどに関する有効性が報告されている。

取材協力先企業

ご紹介した北海道産機能性食品素材の内容は、以下の企業及び製品をもとに作成しております。
 企業名 主要製品
㈱アミノアップ化学 AHCC(担子菌由来培養抽出物)
㈱スリービー グルコセラミド(タモギタケ由来セラミド)、バイオゴッド(タモギタケ濃縮エキス)
㈱北海道霊芝 旺煌(純国産霊芝)
ホクサン㈱ カバナタケ顆粒(ケストース〈結晶オリゴ糖〉添加)