北海道のバイオ産業のネットワーク、道外パートナーズとの連携・販路拡大

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機能性食品の素材紹介

 北海道のジャガイモは国内シェア8割を占める重要な作物で、主食の代用食材としても知られている。ジャガイモは米、小麦、トウモロコシとともに世界4大作物に数えられ、米の流通量が少なかった開拓当時の北海道では、米や麦などに混ぜ、主食の1つとして利用されていた。ジャガイモは冷害にも強く、飢饉の際に多くの人を救ったというエピソードも世界各地で数多く報告されている。
 道産ジャガイモからは、デンプン製造時に排出される未利用残渣から抽出したペプチドやタンパク質を含むダイエット素材が開発されている。未利用残渣にはタンパク質や食物繊維が豊富に含まれ、再利用可能な資源として注目されている。
 ジャガイモはナス科の多年草植物で、馬鈴薯(ばれいしょ)とも呼ばれている。原産地は南米アンデス山脈の高地といわれ、16 世紀以降、ヨーロッパやアジア、ロシアなどに伝わったとされている。日本に導入されたのは17 世紀初め。18 世紀終わり頃にはロシアを通じて北海道での栽培が開始された。ジャガイモは低温に強く、冷害による凶作の年にも安定した収穫が見込めることから、幕末には飢饉対策としてジャガイモの栽培が奨励されるようになった。
 日本でジャガイモ栽培が本格化したのは明治以降で、北海道の開拓使がアメリカから導入した品種を用いて、本格的な栽培を開始した。現在、北海道のジャガイモ生産量のシェアは8割に上る。
 北海道のジャガイモの収穫時期は、早生品種が8 月下旬~ 9 月上旬、晩生(おくて)品種が0 月上旬。主要な品種は男爵薯で、煮くずれしにくいメイクイーンの知名度も高い。
 栄養成分では、炭水化物であるデンプンの含量が最も高く、含有率30%を超える品種もある。このほか、タンパク質、脂質、ビタミンB群、C、カリウム、マグネシウム、食物繊維なども多く含まれている。ジャガイモは味が良く淡泊なため、主食の代用食材としての利用価値が高いほか、サラダ、コロッケ、ポテトチップス、片栗粉など幅広い用途で活躍している。

ペプチド

 国内のジャガイモ生産量の5割近くはデンプン原料として流通される。デンプン原料には、コナフブキという品種が多く利用されており、片栗粉原料のほとんどはジャガイモ由来だ。
 従来、デンプン原料製造時に排出されるデンプン以外の成分は未利用のまま残渣として処理されていたが、未利用残渣に有用なタンパク質や食物繊維が豊富に含まれている点に着目。産学官連携で、有用成分の抽出に向けた生産技術の開発や機能性研究が行われるようになった。
 その代表的な機能性素材が、タンパク質から抽出したペプチド。帯広畜産大学などの研究チームらは、酵素処理によって、大豆タンパク質と同等の機能性をもつペプチドの抽出方法を確立。「ポテトペプチド」の製品化に成功した。
 ペプチドはアミノ酸が2個以上結合した状態のことで、50 ~ 100 個までをペプチドと呼び、それ以上のものをタンパク質としているが、明確な定義はない。ポテトペプチドでは、アミノ酸配列が解明されているが、現在、異なるアミノ酸配列をもつペプチドの研究も進められている。
 機能性研究では、脂質代謝改善効果や肝毒性抑制効果などが報告されており、生活習慣病予防に向けた機能性素材として、飲料、ゼリー、冷菓、サプリメント用途での提案が進められている。
 また、ペプチドは窒素含有量が多いのも特徴の1つで、食品のコクや風味を付与し、調理感を高める効果も確認されている。このため、漬物や納豆などの発酵食品や、レトルト食品、スープ、菓子、ハム・ソーセージなど加工食品での利用も見込まれている。

タンパク質含有素材

 冒頭に飢饉対策としてジャガイモの栽培が促進されたことを紹介したが、ジャガイモを食べることによって空腹感が解消され、満腹感が得られる伝承的な効果に着目したタンパク質由来のダイエット素材も開発されている。
 道産ジャガイモから抽出したタンパク質含有の機能性素材を用いて臨床試験を行ったところ、満腹感向上作用や食事量減少作用があることが明らかとなり、この素材を活用することで体重や体脂肪の減少が期待されている。海外でもジャガイモ由来のダイエット素材が開発・製品化されているが、国産の安全・安心素材へのニーズが高まる中で、道産素材として海外産との差別化を図っている。
 ダイエット食品市場では、満腹感を高め、カロリー摂取量を減らす新たなカテゴリーとして“満腹系”が注目されており、サプリメントのほか、汎用性の高さから一般食品や飲料などへの利用拡大も期待されている。またジャガイモは世界の重要作物として各国で普及し、食経験も十分あることから、海外市場での需要拡大も見込める素材として期待されている。

取材協力先企業

ご紹介した北海道産機能性食品素材の内容は、以下の企業及び製品をもとに作成しております。
 企業名 主要製品
コスモ食品㈱ 北海道工場 ポテ味(ポテトペプチド)
㈱東洋新薬 ポテイン(ジャガイモ由来タンパク質含有加工品)