北海道のバイオ産業のネットワーク、道外パートナーズとの連携・販路拡大

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機能性食品の素材紹介

 北海道を代表する生鮮野菜の1つがタマネギだ。タマネギ栽培発祥の地は札幌で、現在最も多く流通しているのは黄色種の辛タマネギ。日本でタマネギの機能性研究が本格化したのは1980年代で、1989年に日本初のタマネギサプリメントが登場した。有効成分は可食部(りん茎)と外皮によって異なり、可食部は硫黄化合物、外皮はフラボノイドの一種であるケルセチンを豊富に含む。北海道では産学官連携で、タマネギを特定の条件下で加工した際に生成される二次代謝産物のDPTSを多く含む機能性素材が開発され、注目を集めている。さらに品種改良により、ケルセチンを高含有する新品種のタマネギも誕生しており、サプリメントなどへの応用が期待されている。
 タマネギはユリ科ネギ属の多年草で、ネギ、ニラ、ニンニクなど他のネギ属と同様、独特のにおいをもつのが特徴。イラン、アフガニスタン、パキスタンなどの中央アジアが原産地とされるが、野生種は見つかっていない。栽培の歴史は古く、紀元前4000 年頃のエジプトでは食用として普及していたという。その後、ヨーロッパの地中海沿岸に広がり、アメリカやインドへと伝った。タマネギの食経験が長いヨーロッパやインドなどでは、発熱、むくみ、胃炎などの民間薬として活用。特にイギリス、フランス、インドでは、タマネギの研究開発にいち早く取り組み、糖尿病、高脂血症、血流改善などに対する有効性を解明している。
 日本でタマネギ栽培が導入された地域は札幌が最初とされ、札幌農学校(現北海道大学)で本格的な栽培が始まった。北海道はタマネギ国内生産量の5割以上を占める一大産地で、そのうち北見市の生産量が4分の1近くを占める。
 品種は外皮の色の違いにより、白色種、黄色種、赤色種に大別される。白色種は早春に流通する新タマネギとして知られているが、日本では黄色種が最も多く栽培されている。
 日本では、農林水産省がタマネギの機能性研究に関するプロジェクトを立ち上げたことでデータの蓄積が進み、1989 年に日本初のタマネギサプリメントが登場。米国国立がん研究所が中心となってまとめたがん予防に有効な植物性食品・デザイナーフーズおよびファインケミカルの議論を背景に、品薄状態になるほどの一大ブームを巻き起こした。
 タマネギの有効成分は、硫黄化合物とフラボノイドの一種であるケルセチンの2つに大別される。硫黄化合物は主に可食部に、ケルセチンは外皮および可食部に含まれている。硫黄化合物はネギ属のもつ独特のにおいの元となる成分。その成分は、イソアリイン、サイクロアリイン、プロピルアリルジスルフィドなど数百種類に上り、血圧降下作用、血糖降下作用、血流改善作用、血小板凝集抑制作用などに関する研究成果が報告されている。硫黄化合物はニンニクにも含まれているが、タマネギのほうがニンニクに比べて種類は豊富だ。
 機能性素材として流通するタマネギ原料は、粉末、ペースト、スプレードライ、エキス、ビネガーなどの形態で供給されており、用途は錠剤・カプセルのほか、スープやお茶、飴、ゼリーなどと幅広い。

ジプロピル トリスルフィド(DPTS)

 タマネギを特定の条件下で加工した際に生成される二次代謝産物として、DPTS(ジプロピルトリスルフィド)という有効成分が増加することが明らかとなっている。
 これはタマネギのもつ自己防御のメカニズムを利用し、酵素系に働きかけ、ヒトの体に良い影響を与える防御物質を生成しようというもの。タマネギをカット加工後、酵素や熱化学反応によりトリスルフィド類やセパエン類が生成されることが分かっている。
 DPTS を用いた機能性研究では、学習記憶障害改善作用が高く、脳内の記憶を司る海馬部分の酸化を抑制することが確認されているほか、血液流動性の改善作用、血液成分の改善作用、冷え性改善作用、肝機能改善作用などに関する研究成果も報告されている。

ケルセチン

 タマネギは生鮮食品の中でも輸入量が多く、産地間競争も激しくなっている。このため、交配育種によって、有効成分のケルセチンを多く含む新品種のタマネギを開発し、差別化を図る動きも出ている。
 北海道栗山町では、産学官連携で「栗山町タマネギプロジェクト」を立ち上げ、新品種「さらさらレッド」のブランド化に着手した。このタマネギは、世界中から300 以上の品種を集め、ケルセチンと含硫化合物を遺伝的に多く含む品種を交配し、開発された。分析結果では、従来のタマネギに比べ、1.5 ~3倍のケルセチンを含み、国内では最もケルセチン含量の高いことが確認されている。名前のとおり、赤い色をしており、ポリフェノールの一種であるアントシアニンを豊富に含む。
 タマネギに含まれるケルセチンは、他の野菜や果物に比べて、含有量が多く、吸収率も高いとされている。タマネギ由来のケルセチンを用いた機能性研究では、抗アレルギー、紫外線防御、血糖降下作用、抗酸化作用、脂肪吸収抑制作用、発がん抑制作用などが報告されている。

取材協力先企業

ご紹介した北海道産機能性食品素材の内容は、以下の企業及び製品をもとに作成しております。
 企業名 主要製品
㈱北海道バイオインダストリー BRCオニオン(DPTS含有タマネギ加工品)
㈲植物育種研究所 くりやま健康たまねぎ さらさらレッド