北海道のバイオ産業のネットワーク、道外パートナーズとの連携・販路拡大

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機能性食品の素材紹介

 北海道の河口から沿岸部で獲れるサケはシロサケが最も多く、秋の味覚を代表する重要な食材として古くから親しまれている。シロサケは寒流系の魚で、産卵のために故郷の川に戻ってくるのが秋なので「秋サケ」とも呼ばれる。身はもちろんのこと、卵や白子、頭、皮、内臓、中骨、尾びれまで、捨てるところのない魚だ。
 道産サケからは、白子由来の核酸、皮由来のコラーゲン、卵巣外皮由来のペプチド、鼻軟骨由来のコンドロイチン硫酸やプロテオグリカンなど数多くの機能性素材が開発されている。これらの機能性素材は、水産加工時に出る副産物を原料に使用するため、水産廃棄物を減らすことにも貢献している。
 サケ由来の機能性素材は、日本人の馴染みの深い魚を原材料としていることから、消費者の安心感を得られやすいという利点もあり、数多くの商品に採用されている。

核酸

 サケの白子から抽出し、開発された機能性素材が核酸だ。白子は食用としての需要が少なく、主に畜産動物の飼料に利用されていた。しかし、白子の主成分であるDNA、核タンパク(ヌクレオプロテイン)に注目し、研究開発を進めた結果、高分子DNA、塩基性タンパク質およびこれらを酵素分解処理し低分子化したものなどの機能性素材が開発され、サプリメントや化粧品などへの導入が進んだ。核酸はビール酵母 大豆、ノリ、カツオ節などにも含まれているが、サプリメントや化粧品に用いられるのは、サケ白子由来の原料が主流。ここ数年は、飲料需要が増えたことに伴い、水溶性原料が供給量を伸ばしている。
 これまでの機能性研究で、新陳代謝促進作用や抗酸化作用のほか、脳機能改善や育毛効果への有用性も報告されている。美容・美肌素材として定着する中、脳サポート対応の食品や育毛剤など新たな切り口の商品も開発されている。
 このほか、ユニークなところでは、二重らせん構造をもつDNA を用いたダイオキシン類などの有害物質集積技術を確立し、タバコやエアコンなどのフィルターに活用されるなど、工業用途での導入も進んでいる。

コラーゲン

 コラーゲンは、動物の体内に存在する線維状のタンパク質で、生体内に広く存在し、特に皮膚組織の真皮では70%、また軟骨組織には50%と高い割合で含有する。現在、コラーゲン市場を牽引するのは、美肌を中心とする美容効果を目的とした製品で、美容サプリではナンバーワン素材として君臨する。
 サケ由来のコラーゲンでは、皮を利用して抽出した純度の高い素材が開発されている。ほ乳類由来のコラーゲンに比べ、アレルギー性が少なく、新たな機能性も確認されている。低温での安定性、保水性、生体への馴染みやすさなどの機能性を持っているのが特徴。変性温度は17 ℃前後と、ほ乳類由来のコラーゲンよりもかなり低いのも特徴の1つ。現在、サプリメントや化粧品のほか、代用皮膚のラミネート材、止血剤などの医療原料、凍結損傷防止効果をもつ食品添加物、新しい食感のゼラチン食品など幅広い用途で導入されている。

ペプチド

 サケの筋子からイクラを作る際に廃棄物として出る卵巣外皮を酵素分解して得られるのがペプチド。動物由来のプラセンタエキスと同様の機能を兼ね備え、グリシン、ハイドロキシプロリンなどは、動物由来よりも多く含有している。
 海洋性のプラセンタ様物質として人気が高まっているほか、イスラム圏などでは宗教上の理由から豚由来製品が敬遠されることから、代替品としての利用も見込まれている。現在、サプリメントやドリンク、化粧品用途での商品化が進んでいる。
 機能性研究では、脂肪蓄積予防効果、脂肪・すい臓の機能低下抑制効果、抗毒性効果、チロシナーゼ活性阻害能、SOD 様活性、ACE 阻害活性、抗糖尿効果、不定愁訴などに関する生理活性の解明が行われている。現在は美容・美肌市場での利用が中心だが、メタボリックシンドローム対策に向けた商品への応用も期待されている。

プロテオグリカン・コンドロイチン硫酸

 北海道では、産学官連携でサケの鼻軟骨から抽出したコンドロイチン硫酸、Ⅱ型コラーゲン、プロテオグリカンなどが開発されている。
 サケの鼻軟骨由来のコンドロイチン硫酸は新しい型で、特に分子構造はヒトに近いことが分かっている。グルコロン酸とグルコサミンと同じ仲間のガラクトサミンの2糖が交互に連なっており、関節訴求の素材として提案されている。
 プロテオグリカンは、一般的にコアタンパク質に数本から数10 本の糖鎖(グリコサミノグリカン)が共有結合した構造の複合糖質の一種で、動物の皮膚、軟骨、血管などに広く存在する。特に軟骨に存在するプロテオグリカンは、その糖鎖のほとんどがコンドロイチン硫酸で、分子量が大きいのが特徴。非常に高い保湿性を有しており、コラーゲンやヒアルロン酸とともに軟骨を形成する重要な成分だ。主な用途は、高い保湿効果によりエイジングケアが期待される化粧品、血流改善訴求のサプリメント、医薬品・人工臓器などの一次原料や研究用試薬など。

取材協力先企業

ご紹介した北海道産機能性食品素材の内容は、以下の企業及び製品をもとに作成しております。
 企業名 主要製品
日生バイオ㈱ サケ白子由来DNA、核タンパク
井原水産㈱ サケ皮由来コラーゲン(アテロ化マリンコラーゲン溶液、マリンコラーゲンペプチド)
㈱藤井水産 サケ鼻軟骨由来コンドロイチン硫酸
バイオマテックジャパン㈱ サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン、Ⅱ型コラーゲン(ナチュラルプロテオグリカン、ナチュラルコラーゲンⅡ)